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高梨の胸もつられるように拍動が加速する。労せずして増えてゆく貯蓄の前に恍惚感が溢れ出し、突然寿命を迎えて死ぬのではないかという恐怖は消し飛んでいた。興奮を抑えられず動かす手を振る速度は上がってゆく。
トントントントントンッ!
ポタポタポタポタポタッ!
チンチンチンチンチンッ!
――ははっ、こんな簡単に金が手に入るなんて最高だ! これで俺は太く生きられるぜぇ!
通帳の金額は増加の一途を辿っていた。その作業が終焉を告げたのは最後の一粒が滴り、落ちるべき液体が尽きたからに他ならなかった。
全身が汗まみれとなっていた高梨の心は達成感で満たされていた。それから通帳に視線を向けて残高を確認すると、そこには確かに¥36,514,649と、見たこともない額が記されていた。
――手に入れたぜ、大金を。
「くっ……」
口角が緩んだ瞬間、高梨は笑壺に入って抜け出せなくなった。
「くっくっくっ、うわっはっはっはっ、ぎゃははははあああ!!」
腹を抱えて呵々大笑し、その歓喜の叫びは一晩中続いた。
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