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今の妻・加奈子は遼と血が繋がっていない。
瞳が亡くなったのが二年前、遼が三年生のとき。もうすぐ命日である。俺が加奈子と再婚したのが半年前。
加奈子は俺の職場の後輩だった。年は六離れている。加奈子が入社したとき、俺がトレーナーを務めたこともあって当時から仲が良く、瞳やまだ赤ん坊だった遼に度々会わせていた。加奈子は仕事を機にこの町へ越してきたため、知り合いが少なかったのだ。
瞳とは互いの性格上すぐに打ち解け合い、遼ともよく遊んでくれた。
遼も加奈子に懐いていたし、加奈子も遼のことが好きだと言ってくれたから、遼に長い間寂しい思いをさせるよりはいいと思って決断したのだ。
「別に、加奈子ちゃんをお母さんと思ってないとか、そういうのじゃないんだ」
「ああ、分かってる。時間だ。時間が必要なんだ」
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