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「もうっ、そんなに私の話が信用できないなら見てきてよ。赤いシミ」
俺は拒んだが、妻に服を引っ張られたりお尻を叩かれたりして半ば強引にリビングを追い出された。
「遼くんに怪しまれないようにね」と、後ろから小声が飛んでくる。
シャワーの音は止んでいる。
磨りガラスのドアの近くに置いてある籠の中を見て、目を疑って覗き込む。確かに遼が脱いだズボンに、掌ほどの大きさの赤いシミがあった。
手にとって広げる。左右に白いラインの入った、サッカー少年を象徴するような淡い青の半ズボンである。
赤いシミは、そのお尻の右下あたりに広がっていた。つるっとした手触りの青い生地の部分は赤と青が混ざり合ってか、真っ赤と言うよりは赤黒い。右太ももの外側にくる白いラインまで及んだシミは、血に見えても仕方ない鮮赤だった。
一度水で洗ったのかまだらに薄くなっているが、相当頑固な汚れらしい。
俺は唐突に風呂のドアを開けた。
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