かくのごとし 二

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 行燈ひとつの薄暗とはいえ、菊の座を晒すのは決まりが悪い。  人肌に温められた丁子油がたっぷりと染み込んだ筆が、露わになった孔をくすぐる。大山の指南では無かった刺激に絢鷹(あやたか)は身悶えた。  まだ、誰かに抱かれるのはこれで二度目だ。  膝を折りうつ伏せて尻を丸出しにしている格好は間抜けなものだ。  だが、ほんのり漂う丁子油の香りは嫌いではない。 「ふっ……」 「どうした」 「いえ、心地よくて」 「そうか。心地よいか。では、これはどうだ」  薄く粘り気のある笑みを浮かべた相手の男は、自分の指を油壺に浸し絢鷹の孔にゆっくりと差し込む。  すでに咲き(ほころ)んでいた菊の座に、男の指はすんなりと埋まっていった。     男の、油にまみれた指が滑らかな動きで行き来する。じっくりと、指先に角度を付けながら抜き差しを繰り返され腰が震える。後の感覚だけで絢鷹(あやたか)の前もすっかり張りつめていた。  耐えがたい快感に力が抜け、へたり込んだ絢鷹(あやたか)は枕に顔を埋めた。――大山の手ほどきとは全然違う。 「……っ……」 (……善がっている場合じゃない……。話さなきゃ……)
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