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絢鷹は一端になって間もない若い忍だ。
今宵は初の夜伽の任務――床の手ほどきを受けて以来、二度目の色事だ。特別身持ちが固いわけではないのだが、あれ以来機会がなかった。ただそれだけだ。
世話役の辻里と二人きりの任務もまた二度目。それがよりによって夜伽とは――。絢鷹の心中は微かに波立っていた。
一度目の、二人での任務においては身を当てるのは辻里の役目だった。今回は絢鷹がそれをやる。
あの時見た辻里が女と激しく交わる姿は、いつ何時でも容易く絢鷹の欲情に訴えかける。あれから毎晩のようにそれを思い浮かべ、辻里への想いを束の間だけ昇華させていた。
だれかと睦み合う姿など見られたくはないが、これは任務だ。こんなことで四の五の言っていられない。それ以上に、忍として認められないことの方が辛い。
親代わりともいえる辻里に思いを寄せてはいるものの、どうせ目の端にも入れてもらえぬことは分かっている。だからせめてもう子供ではない、一人前の忍だと認めてもらうことが絢鷹にとっての恋の形だった。
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