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「……っ…何だよ……いきなり……。」
「だって新太(あらた)、リンゴの味は好きだって言ってたろ?」
「え?……うん。」
「だからだよ。リンゴ味のチューだ!」
そう言って得意げに、嬉しそうに笑う楓を見ていたら胸の奥がムズムズと痒くなって、熱くなって、その後キュッと締め付けられた。
何だよ、リンゴ味のチューって。
わざわざ俺の嫌がる事をした後で不意打ちのキスなんて……
おまえ、それは反則だろ……
たまんなくなるじゃん……
単にキスがしたかっただけなんじゃねぇの?
だったらそう言えばいいのに。
「おまえ……」
「おまえじゃない。」
「藤沢……」
「藤沢じゃなくて楓。名前で呼びたいって言ったの新太だろ?」
得意げなイタズラな笑顔が今度は優しい微笑みに変わって……
優しい微笑みはだんだんと艶めいた熱い視線へと変わっていく……
俺は目をそらす事も出来ずに、高鳴る心臓の音を頭の中で響かせながら、その瞳に吸い込まれそうになるのをジッと耐えていた。
「楓……」
「もう一回、呼んで。」
「楓……」
「もう一回……何度も……。」
「楓……楓……楓……」
名前を呼ぶ度に、楓の手がゆっくりと俺に近付いて、そっと俺の頬に触れた。
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