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「リンゴも美味いけど、やっぱこっちのが美味いよなぁ……。」
手は頬に触れたまま親指だけがゆっくりと俺の唇をなぞる……
楓の目が光っている。いつもは柔らかな穏やかな目が……今はとても……
熱い。
「何言ってんだよ……」
呟くようにそう言った後で、恥ずかしさと熱い視線に耐えきれなくて、俺は俯いた。楓の手はずっと頬に触れたままで離してはくれなかった。
「新太……リンゴの味は好きだもんな……。」
「さっきもそう言っただろ……。何回も同じ事聞くなよ。」
「じゃぁ、リンゴ味のキスをする俺のことは?」
「それも聞かなくてもわかるだろ……」
「わかっていても聞きたくなるんだよ。何度でも。」
そう耳元で囁く楓の声はまるで甘いハチミツのようで、トロトロにとろけて纏わり付いて離れない。
そんなハチミツに俺も蕩けて、ふわりと香るリンゴの匂いと楓の匂いが混じり合う……
ゆっくりと顔をあげて、頬に触れる楓の手を掴んだ。
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