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その後――。
「すみませんー。
犯人、繭さんじゃなかったですねー、はいこれ」
と繭は、伊佐木に、詫びにと笑顔でみかんを渡されたそうだ。
「というわけで、はい」
と繭は、そのまま、そのみかんを箱ごと寺に持ってきた。
で、寺を訪ねてきたおばあちゃんたちが日々、それを食べている。
「……これもなにかのノルマなのかしらね」
本堂の隅に積み重ねられたみかんの箱を見て呟くほとりの横で、環が言った。
「恐ろしいな、田舎……」
あのあと、坂本も、
「どうもありがとうございました。
お世話になりましたー」
と言って、もう一箱持って来たのだ。
しばらく、みかんにだけは困りそうにない。
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