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山本爾の霊は、あのあとも成仏せず、ときに若くなったり、年をとったりしながら、桧室や首吊り男に説教したり、昔語りをしたりしている。
瀧川に死体を始末してもらって、ちょっとすっきりした顔の桧室は苦笑いしながらも、山本の話を聞いてやっていた。
竹箒を手に、庭先に出たほとりは、そんな山本たちを見ながら、
「もうこの寺のモノ、成仏させていいはずなのに、数が増えていってるのは何故かしらね……」
と呟く。
竹箒の柄の先端にはノブナガ様が乗っていて、座敷には肝心なときには出てこない、ワタシ ミワチャンヨが居る。
山本が最初は人形のせいで殺されたとか言っていたので、
「これもミワちゃんによる殺人かと思ってたけど、違ったね」
と環に向かい言うと、いつの間にか側に来ていた女子高生姿のミワがわめき始める。
「『も』ってなによっ。
私は誰も殺してないわよっ」
「ああ、ごめん」
そういえば、殺された方だったな、と気がついた。
「なんか犯人の繭より、ミワの方があくどい感じがするから、ついつい」
と笑うと、
「誰があくどいのよ。
私がやったのは、恐喝だけよっ」
とミワは主張し始める。
いや~、それ、世間的には、充分な悪だと思うんですが……。
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