そろそろ覚悟を決めたらどうだ?

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   あー、外、冷えたなーと思いながら、沸かしておいた、というか、環が沸かしておいてくれた風呂にほとりは入っていた。  いや、考えてみれば、なにも出来ないよなー、私って、と今でもたまに乗るべき板をひっくり返して大騒ぎしてしまう五右衛門風呂に浸かりながら、ほとりは思う。  街なら気にならなかったことが、此処では気になる。  もっと、真面目に家のこととかしながら、暮らしてみようか。  よく雑誌とかに、日々、丁寧に暮らしていくと、心が洗われるとか書いてあるもんな。  でもまあ、無理すると、すぐに息切れするか、とほとりらしく、すぐ諦めかけたとき、 「ほとり」 と木の戸の向こうから環の声がした。  ちょっと用事があるから、先入れと言われたのだが、  やっぱり、寒いから、もう入りたいのかな? と思い、 「私、もう出ようか?」 と言うと、 「いや、そのまま入ってろ。  俺も入る」 と環が言ってきた。
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