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振り向くと、第二王子のオズワルド様が心配そうな表情で立っていた。
あたしの婚約者だ。
あたしは慌てて微笑んで首を傾げてみせる。
「ちょっと…暑くなってしまったので、外の空気に触れたいと思いまして…
オズワルド様は?」
なんつうかまあ、綺麗だけど覇気がないって言うか、ただただ人が好さそうな、真正お坊ちゃん!って感じの人だな。
あたしは心の中で評する。
可もなく不可もなく、婿入りの結婚相手としちゃ、そこそこ及第点ってところじゃん?
少なくとも、さっきの高慢で傲岸な、繊細さや思いやりなんて微塵も感じられない最低男よりはずっと良いわ。
またさっきの屈辱が甦り、あたしはぐっと扇を握りしめた。
オズワルド王子は安心したように笑い、「そうでしたか…お加減が悪くなられたのかと心配しまして、姫を追いかけてきました」と小さな声で言って少し赤くなる。
王子に気づいた周りの人たちが席を空けてくれて、オズワルド王子はお礼を言ってあたしを空いた椅子に誘う。
あたしは可愛らしく見えるように、小首をかしげて上目遣いにオズワルド王子を見上げ「ありがとうございます…オズワルド様はお優しくていらっしゃるのね。嬉しゅうございますわ」と微笑む。
オズワルド王子は更に顔を赤らめ、近くに控えている従者に「姫に何か…冷たい飲み物と食事を」と命じる。
はっ、と従者は畏まって命令を遂行するべく、いなくなる。
「オズワルド様もお掛けあそばして」とあたしは自分の隣を掌で指し示す。
そういえばアンナはどこかしら。
オズワルド王子は「あ、はい」と、額の汗を綺麗なハンカチで拭って、あたしの隣に少し離れておずおずと腰かけた。
そんなに緊張せんでも…
あたしはちょっと可哀相になる。
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