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「エセルバルド・グリウィズ・メガロヴルグ王太子殿下の御成り~」
俺は大きくため息をつくと、頭を上げ胸を張る。
柔らかな中にも傲岸不遜な笑みを顔に貼り付け、剣に左手を載せて大股に歩み、父王の玉座の後ろから前に出た。
広間が一際大きくざわめき、皆が俺に注視する。
うっわ…
俺は表情を変えずに密かに驚く。
凄い数の人だ。
このバカでかい広間に、入りきれないほど大勢の人がいる。
王宮自慢の楽団も、隅に追いやられて心なしわびしく見える。
玉座にゆったりと腰かけ、金の持ち手のついた眼鏡をかざして広間を見回していた父王は、俺を見上げると満足そうに頷いて立ち上がった。
広間のざわめきが一瞬にして収まる。
「本日は、王太子の為に遠方よりお越しいただいて、感謝する。
今宵から3日間の舞踏会の間に王太子と第二王子の花嫁を決め、皆に披露したいと願っている」
え…
俺は、後ろにいる第二王子のオズワルドを横目で見る。
オズワルドはその線の細い、まだあどけないような顔に緊張の色を浮かべている。
そうか、オズワルドもいよいよ政治に利用されるってわけか。
俺は自分の立場を棚に上げて、弟王子に同情する。
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