第1章 花嫁選び・第一日目

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2.カロラング・アンティオ王国王太女・エレオノーレ  最悪!最悪だわ!  何あの男っ!  さいってー!!  最初にバルコニーに現れたのを見た時から、なんかいけ好かないやつだと思ったのよ!  見たままの、人好きのする社交的な人ではないって感じた。    弟王子のダンスの稚拙さをあざ笑うような、他の人々へ見せつけるためのダンスの誘いに頭に来てひとこと言ってやったら…あの、小憎らしい切り返し!!  あたしは憤りで怒鳴りだしたい衝動を何とか堪えながら、足早に大広間を後にし、テラスの方へ向かう。  開け放ってある大きなガラスの扉から外へ出ると、夜風が火照った顔にあたって気持ちが良い。  しかしここにも人がいっぱいいる。  広いテラスにたくさんの篝火が焚かれ、そこここに設えられた椅子やソファなどに腰かけて、大きなテーブルの上に山と盛り付けられた美味しそうなさまざまな料理や飲み物を手に取り、思い思いに歓談している。  ある事件で人嫌いになってしまって、人前に出るのを極端に怖がるあたしを憐れみ、お兄様はお父様の反対を押し切ってあたしを王宮の奥深くに隠していてくださった。    優しく明るくおおらかで、でも芯はしっかりと筋が通っていて頼りがいがあって、家族を国民を家臣を愛し、王者の風格がおありだった大好きなお兄様…  目のまえに繰り広げられる信じられないほど大掛かりな宴に、メガロヴルグという国の計り知れない国力財力、王の権力の絶大さを肌で感じ空恐ろしくなる。  こんな国の第二王子と結婚して、あたしは女王としてメガロヴルグの国王と対等に渡り合っていけるんだろうか。    怖い。  助けて、お兄様。  「エレオノーレ姫…いかがなさいましたか」  背後から遠慮がちに声がかかる。  
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