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捕われの・・王子?
「何だこれ。」
目の前にはいかにも分厚い石の扉。
重々しく、目の前に鎮座している。
「ボス戦前のセーブポイント無しって俺のカンが告げている・・・」
思わずむなしく呟いて、それでも今更引き返す気にもなれず、その扉を開く。
ぎぎぎぎ。
思ったより軽い手応えで扉は開く。そして___
「は?」
何故か、金髪の美丈夫がいたりした。
「ようやくか。」金髪の男はふっと笑うと床から立ち上がった。
とりあえずシローはその男に近づこうとしたら、
「動くな!」男が鋭く言う。
シローはひとまず足を止めると、男に聞いてみた。
「・・・すみません、出口、知りませんか?」
その声はあまりにこの場にそぐわないものだった。
「____つまり、俺は何をすればいいんですかね?」シローは厄介なことになった、と思った。
男は稀に見る美形だった。着ている物も高そうだから、それなりの階級の者だろう。帯剣しているところを見ると、少しは使えそうだ。
問題はそこではなく。
「まず、囮になって夜盗をここへ誘導しろ。報酬は払う。」
「何か勘違いしてませんか。俺はそういう職業じゃ無いんですが。」
「困ってる人間を見捨てるのか?」
「いえ、余裕有りそうですし。」
男の話しでは、男はつい数日前にここへ調査へ立寄り、罠が発動したためこの場から動けなくなったという。
どのような技術かは知らないが、シェルにはそういうものが残されていて、それを研究している人間もいるらしい、という話は聞く。
どうやらこの目の前のとても地に這いつくばって調査をするとは思えないような王子様タイプの人間が、調査員らしい。
世の中わからないものだ。
シローは自分を棚に上げて思った。
「お前、名は?」
「タカセ」
「ではタカセとやら!頼んだぞ!」
(聞いちゃいねぇ・・・・)シローはひとまず、男が投げてよこした地図ー男は頭に入っているので必要ないというーを持って出口へ向かった。
夜盗再び
(そう簡単に夜盗をつれて来いと言われてもな・・・)
シローは自分が一介の観光客であると信じている。
故に、彼らー夜盗の皆さんがそう執拗に追う獲物でもない、と自分のことを思っていた。
(まぁ、目覚めが悪いから協力するのはやぶさかではないが・・・)
おかしなことに、シローにはあの美丈夫が幽霊にも異性物にも見えなかった。
一応、公用語であるエトルリア語を使っていたので、人間に見えたが。
(人間と見せかけて魔族というパターンか?)
などと思いめぐらせていると出口へついた。
「で、何でいるのかね?」
呼んでもいない夜盗の皆さんが勢揃いされていた。
「見つけたぞ!」男達は10人、あの女性は見当たらない。
「一つ質問していいか。」シローはため息をつきながら聞いた。
「『月下残響サラウンドサーベル』!見つけたぞ!」
「・・・・・・そーゆーこと」シローは即座に踵を返すと大広間に向かって駆け出した。
「師匠の馬鹿野郎!!」と、吐き捨てて。
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