航海四日目、昼すぎ

1/1
前へ
/67ページ
次へ

航海四日目、昼すぎ

結局、シローが目覚めたのは次の日の昼過ぎだった。 目覚めるとまた、アレクに抱かれていた。それも、また二人共裸のままーシローはあの下着を着けたまま。アレクが抱え込むように抱いているため、当然、下着の上からアレクの脈打つ性器がぴったり尻に当たっているのがわかる。 (酔いすぎだろう・・・)いくら『シェル』に酔うからといって、これでは駄目だとシローは思った。 アレクが自分に執着しているのも、『シェル』の所為ではないかと思う。もちろん、自分も憎からず想っている相手だ。信じたいとは思う。 けれども、信じきれない。 それが、アレクに応えられない理由だろう。なら、どうするか。 「・・・何?」アレクはシローに言われた言葉を反芻した。 「だから、しばらくしない、って言った。俺の気がすむまで。」 今日はシローも読書をしている。 薬学の。 二人して別のテーブルに向かっている間、シローが宣言したのだ。 しばらくアレクとは性行為をしない、と。 「何故、と聞いても?」アレクはじっとシローを見る。 「・・・・『シェル』に引きずられていない、と言い切れないから。」 「私が?」 「俺が。それに・・・」 「・・・私が信じられない。そうだな?」アレクはわかっていた。いつかはそう言われるだろうことを。 「・・・悪いけど。」 「・・・仕方あるまい。私のシローへの愛が足りぬのだな。」 「いや、そんなことは。」 「愛が試されるとはこういうことだろうか?」 「いやいや、だから、そういうわけでも。」 「しかし、私がシローに愛するのは許してもらえるか?」 「それは俺が許す問題じゃないだろう?」 「では、私はシローがいいという時まで愛を請おう。だが・・・それは、船を下りてからだ。」 「・・・はい?」 「シロー、知っているとは思うが、『シェル』を押えるのは非常に難しい。それを、これからの危険な任務で負うためには、今、許された時間を有効に使うべきだとは思わぬか?」 「・・・いや、言ってる意味がよくわからないんですが・・・」 「残り時間を有効に使おうと言っているのだよ。」 そう言って、シローはアレクに拉致られた。 この日の昼から五日目の朝まで、シローがベットから抜け出せることはなかった。最長時間、13時間ぶっ続けでアレクのモノに啼かされることになったのである。 後にも先にも、当時を振り返ったシローが、 『若かったからできた』と言うくらいに激しかったのは言うまでもない。
/67ページ

最初のコメントを投稿しよう!

145人が本棚に入れています
本棚に追加