第一話 ジョギング先生がやってきた!

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第一話 ジョギング先生がやってきた!

d8f1ea78-374c-415a-b4eb-95d118e8a945 「ジョギング先生やってくる(ジョギング先生 オープニングテーマ)」  遠い街から 近い街まで  ジョギング一筋 駆け抜ける  寒い夜から 暑い朝まで  ジョギング続けて 25年  あれが我らの ジョギング先生  言う事きかない不良でも  走れば分かる何事も  引きこもるヤツはどいつだい?   苛められたら耐久勝負  死ぬか 生きるか 走るか 止まるか  夢見たいヤツから付いて来な  俺が走れば異常気象  やるか 負けるか 走るか 飛ぶか  ららる~ ららる~  僕らの街へ   ららる~ ららる~  足音がほら聞こえてくるよ   第一話 「ジョギング先生がやって来た!」 「今日からお前らの担任になった柱騎士(はしら・ないと)だ。お前らみたいな不良には俺みたいな教師がよく似合うってもんだ。宜しくな」  白いランニングと短パン姿の先生が僕らのクラスにやって来たのは、ちょうど一年前のマラソン大会の時だった。 「誰だ? アイツ……」  そう言って顔をしかめたのは、僕らのクラスのリーダー、吉見竹豊(よしみ・たけとよ)だ。 「さあ? 何か担任とか何とか言わなかった?」 「うん。確かに担任って言った気がする」  皆、顔を見合わせて口々に呟いた。僕達は札付きの悪の集まりで有名な悪漢(あっかん)高校の生徒だった。担任どころか教頭や校長までコロコロ変わるのでどんな先生がいて、誰が担任なのかも分からなかった。 「竹豊。俺ら何でこんな寒い日にわざわざマラソン大会なんてやってんだよ。俺ら札付きの悪だぜ。こんな事しなくていいじゃん」 「それもそうだな……。何でこんな格好でこんな事しなきゃいけねんだよな。帰ろうぜ」  竹豊を中心にゾロゾロ帰り始めた生徒達をまとめて落とし穴に落としたのは、ジョギング先生だった。 「ばかも~ん。健全な若い男が何人も集まってマラソン大会をサボるなんてどういう了見だ! ジョギングを笑うものはジョギングに泣く。俺が担任となったからにはジョギングだけはサボらせんぞっ!」  そう言ったジョギング先生はとても熱かった。あの時のジョギング先生の瞳を僕は忘れられない。  そしてジョギング先生の作った落とし穴が思ったよりも深くて柳沢基次(やなぎさわ・もとじ)が足を負傷した。あと、深川洋一郎之介(ふかがわ・よういちろうのすけ)は頭を打ったっけ?   とにかく現場は凄惨だった。でも竹豊の処置が素早くて的確で僕達は竹豊の意外な一面を見た。 「竹豊……。お前ってすごいな。僕、竹豊の事……」  僕が竹豊に、何か驚くべき素敵な事を言おうとした瞬間にジョギング先生が上から落ちてきたんだ。 「お前達、まだこんな所にいたのか? もういい加減反省したなら帰ってよし」  僕達が驚いたのはその後だった。ジョギング先生は一人ずつ、人間大砲で外に出してくれたんだ。僕は初めての人間大砲に少し興奮した。  そして竹豊の優しさを知った。竹豊は頭を打った洋一郎之介をしっかり抱え込んで外に出たんだ。僕は少しだけ洋一郎之介に嫉妬した。  そんな事に気を取られていたら、足を負傷した基次までジョギング先生は人間大砲で飛ばした。着地がうまくいったのか、穴から出た基次は足が元に戻っていた。不思議な事もあるもんだ。  生徒全員を大砲で飛ばしたあと、最後にジョギング先生は壁走りで穴から上がってきた。忍術を使える人間が現代にいることに驚きを隠せなかった。  そんなトンでも先生と高校生活のラストを飾らなければならなくなる……だなんて、その時は誰も予想だにしてなかったんだ……。 「真夜中のジョギング(ジョギング先生エンディングテーマ)」   あの雲をごらん どこまでも続くよ    流れに身を任せ 自分を捨て  どこまでも風に乗せられて   あの川をごらん どこまでも流れる   せせらぎに踊らされ 石を転がし  どこまでも水に攫われて      君の目に映る物は 何なんだい?   僕には教えてくれないね   あの日君がくれた微笑は  僕に何をもたらしただろう   君といつか星になれると  信じてララバイ
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