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「かげとー今日、ゲーセン行こーぜ!」 「また?いいけどさー5プレイおごりな!じゃねーと行かねーぞ。」 「えーまけて!3プレイならおごれる!」 「しゃーねーな、3プレイな!」 「かげと様-」 「ばーか。」 教室の真ん中で行われているいつもの光景。 僕はそれを見ていることしかできない。 「美術室、行こう・・・。」 小さく独り言を放ち僕は美術室に向かう。 僕は美術部員で、ほぼ毎日、絵を描いている。 絵は人物画以外。それしか描けない。というべきか、描かない。というべきか。 美術部といっても、部員は僕1人になってしまった。 この学校の美術部はもともと有名だったのだが、美術に詳しい先生がいなくなってしまってからは部員は減る一方だった。 ただ、唯一残っている、このガラス張りの教室だけが僕の居場所だ。 僕にとってはここが宝箱なのだ。 不思議と寂しいと思ったことはない。 絵の具の匂いとこの景色のおかげ。
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