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「かげとー、今日は捕まえたぞー!」 「毎日毎日、よく飽きねーな。」 「最近付き合い悪くね?」 「んー。あー今ハマってるもんあってさ。」 「何それ。」 「教えない。お前には絶対。」 「何でだよー!俺ら親友だろ!?」 「え?そーだったの?」 「このやろー!親友だって言え!」 まるでコントだ。楽しそう。 今日は少し倉庫の片付けでもしようかな。 画家さんを50音順に並べるのがいいかな。 「あ!この引き出しも片付けなきゃ。」 この引き出しは先輩方の作品がしまってある。 「おっと!」 あーやってしまった。 床に作品が散らばってしまった。 「ん?これ・・・」 ガラガラ 「陽太―いる?」 「いるよ。あれ?帰ったのかと、思った。」 「ううん。まいてきた。」 少し後ろを気にしながら倉庫に向かってくる。 「そっか。」 「それ、手伝うからおすすめの画家さん紹介してほしいんだけど。」 荷物を置いて僕に近づく。 「あ!そーだこれ!」 僕はさっきみつけた作品を、影斗に見せる。 「懐かし。ここにあったのか。」 「やっぱり影斗のだよね?」 僕はワクワクしていた。 「うん。その画家さん好きでさ。模写した時のヤツだ。」 懐かしそうに手に取る影斗を見て、僕は言葉を抑えられなくなっていた。 「僕も!その画家さん好きで、その繊細さがすごく心を持ってかれるんだ! 何より一本一本が細かくて目を近づけて見るのが好きなんだ。 繊細ってこのこと言うんだって思ってさ! 僕はその画家さんの、『冬』が好きで、影斗も見たことあるかな? あ!ほら!これ、なんだ、けど・・・。あっ!ごめん僕、つい・・・。」 「んーん。いいよもっと聞きたい。 てかさ、陽太、メガネ外したら意外と・・・。」 そう言うと彼の手が僕の顔に近づいてきて、レンズが遠退いていった。 「ほら!イケメンじゃん!コンタクトにすればいいのに!」 「本当にそう思う?」 僕はぼやけた目で彼に問い直した。 「うん。でもやっぱダメ。 コンタクトして伊達メしてよ。うん!それがいい。」 ひらめいたように言うけど僕にはそんな事、毎日できない。 「めんどくさいよ・・・。それは。」 「だよね。・・・残念。まあ、俺も・・・。」 影斗が何か言ったように聞こえたけど気のせいだと思い、僕は作品の整理を続けた。
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