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次の日。 影斗はみんなに囲まれていた。 「勝ったんだ。」 小声をもらす。 「陽太!昨日は無理やりだった。ゴメン。」 頭を軽く下げる影斗。 周りは不思議がっている。 「・・・い、いいよ。影斗のせいじゃないから。 ほら、み、みんなが呼んでる。」 僕は目を合わせられなかった。 今日はなんとなく絵を描く気分になれなかった。 靴箱をあけようとすると、3人の生徒が近寄ってきた。 「ちょっと来い。」 僕はなぜか美術室に連れて行かれた。 「お前さ。かげとと仲いいの?最近よくしゃべってるよな?」 「いや・・・えっと。影斗とは・・・」 僕は恐怖で言葉が上手く出ずにいた。 その態度で怒りを余計に買ってしまったようだった。 「はっきり答えろよ!うぜーな!!」 それからはあまり覚えてない。 気づいたら、僕は床にばらまかれた教科書を拾っていた。 幸い、体はどこも痛くなかった。 「陽―太!」 影斗は変わらず、話しかけてくれる。 「今日は、雨だね。描きに行くの?」 「・・・うん。」 「じゃあ、俺も行こーっと。」 ふと昨日の彼らを見るとこちらを睨んでいた。 もしかしたら、影斗にも何か言うかもしれない。 だとしたら僕は影斗と一緒にいない方がいいのかもしれない。
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