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終章 四月の雪月花
四月一日、季節外れの雪が降ったあの日の朝。首のない少女が発見された事件が起きた。
その事件が終結してから、早くも半月が経っていた。
落ち着きを取り戻した町は、凄惨な事件などなかったかのように賑わっている。
その様子はまるで雪解けを迎えた春のようだった。
事件は容疑者死亡で終わってしまったが、迅速な対応が評価されたためか鳴神刑事は警部補への昇進が決まったようだ。
これから更に忙しくなることだろう。
八雲が負った怪我もほとんど治ったが、もう暫くはコルセットを外せそうにない。
大槻の遺体は司法解剖され、その血液から興奮剤……麻薬のようなものが検出された。
市販薬などの成分とは違うことから、非合法な薬物の可能性を指摘され、その入手ルートが細々と調べられている。
大槻に拉致された際、取り上げられていた谷崎李菜のスマートフォンには、狩谷有香からメールが届いていた。
メールには李菜に対する感謝と愛、そして謝罪が綴られていたという。
有香の死を乗り越えた李菜は、少し遅れて大学に通いはじめたらしい。
元々心理学を勉強したいと願っていた彼女は、カウンセラーを目指して大学の授業を真剣に受けている。
そして、大槻が切断して持ち去ったとされる狩谷有香の首は、事件から半月経った今もまだ見つかっていない。
To be continued
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