プロローグ

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慌てて顔を覆う土を振り払い、視界と酸素を確保する。そのまま素直に窒息死などしてられない。 「(お願い……間に合ってっ!)」 しかし遅かった。 気を失っている間に次々と掘り返した分の土を戻されてしまい、1人の力ではもう地上の光を見る事すら不可能になってしまっていた。 「(苦しい……)」 助けを呼ぶにも口を開けようものならどんどん土が入ってきて叫ぶこともできない。 「(苦しいよ……)」 酸素も無くなってきて、体全体に力が入らなくなる。 「(私はまだ…、生きて……る…よ…)」 目も開けられず視界は真っ黒の中、徐々に意識が遠のいていくのを感じる。 「(助けて…た、けて………す…………)」 電球の光が消えるかのように、彼女の命の灯火は消えた。 ──絶対に許さない。 殺してやる。殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる。 最期に謳うは憎悪の言葉。
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