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「冰、それに遼二と紫月も聞いてくれ。お前らに大事な話がある」
先に切り出したのは氷川の方だった。
「今回のことは全て俺の甘さが引き起こしたことだ。お前らには本当にすまないことをした」
「龍……そんな……」
冰は無論のこと、遼二と紫月も驚き顔で氷川を見つめた。
「大阪への出張で一晩家を空けるってのに、東京の冰の元に護衛の一人も残さず――、しかも遼二までもを連れて行ったことで隙を作っちまったんだ。完全に俺の手落ちだ」
「……そんな! お前は悪くない……! 元はといえば俺の過去のことで……こうなったわけだし……」
冰はとんでもないといったふうに、氷川の責任を否定した。
「いや――お前のせいじゃねえ。というより、誰が悪いとか悪くないというわけじゃない。とにかく大事に至らなくて良かったが、もしも偶然帝斗が店を訪れてくれていなかったとしたらと思うと、後悔どころではすまされない。そこで、今後の体勢を見直したいと思っている」
氷川はそう前置きをしてから、少々驚くような内容の提案をした。
「先ずは紫月――お前にはホストの職を辞してもらい、この冰の秘書として勤めてもらいたい」
「……! 俺が……代表の秘書を……?」
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