未来への招待状

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「そうだ。ホストと違って、店の仕入れや顧客の管理といった事務作業が主になるが、引き受けてもらえるだろうか」  突然の氷川の提案であったが、紫月はほぼ即答といった調子で頷いた。 「正直、有り難いです……。俺、ホストはやっぱりたいへんなことも多くて……。あ、仕事の内容が辛いとかじゃないんですが……やっぱり……心のどっかで遼に申し訳ねえなって思うこともあって……。いくらお客さんでも女の子とイチャイチャしてるのを見て、遼が少なからずいい気持ちじゃないんじゃないかって思ってたんです」  それというのも、紫月自身、お客がたまに氷川に連れられて店へとやってくる遼二のことを、カッコイイだの素敵だのと話題にしているだけでも胸が痛む――そんな思いで見ていたからだと付け加えた。 「ほんとはホストやって、短期でバリバリ稼いで金貯めたかったですけど……その為に遼との間に溝を作っちまうんじゃ元も子もないですし。俺、地道に働きながら遼と一緒に歩く道を見失わないでいきたいっていうか……」  僅かに頬を染めながら、紫月は照れ臭そうにして遼二を見やった。  そうである。元々、遼二と紫月の二人がホスト業界に入ったきっかけは、金を貯めたいからであった。  男同士、しかも幼馴染みという間柄にありながら、将来を共にしたいと思う程の自分たちの仲を、双方の両親に認めてもらいたい。その為の条件が、二人で二千万円を貯めることができたら――というものだった。
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