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そうして一日も早くその金額をクリアしたいが為にホストという職業を選んだものの、実際に就いてみれば想像していたほど容易いものではない。女性客を相手にするというのは当然のこと、酒の量にしても、客の扱いにしても、傍で思うよりも重労働である。
正直なところ、仕事が終われば爆睡の毎日で、たまの休日でも満足にデートをすることさえままならない。加えて嫉妬も皆無とはいえず、不安も募るばかりである。体力的にも精神的にも余裕がなくなってきているのは本当のところだったのだ。
遼二は格別には言葉に出して何を言うでもなかったが、その表情には安堵の色が窺える。氷川の提案と紫月の気持ちを聞いて、内心は嬉しいのだろうことが窺えた。
そんな遼二には、氷川からまた別の提案が持ち出された。
「遼二、お前にも同じく提案だが――今後は俺の側付きではなく、冰と紫月専用のボディガードを任せたいと思うんだが――どうだ?」
遼二は驚いた。
「俺……が、雪吹代表と紫月のボディガード……」
「ああ。お前が冰の傍に居てくれれば、俺は安心して自分の仕事に専念できる。どうだ、頼めないか?」
「承知しました。精一杯勤めさせていただきます」
遼二も即答で了承し、氷川も嬉しそうであった。
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