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未だ驚きが先立って硬直状態の二人を前に、今ひとたび打診の言葉を口にする。
「俺はお前たちが他人には思えなくてな。お前らと側に住みたい、いつでも一緒に居てえって思ってるんだ。これは俺と冰の我が侭でもあるが――聞き入れてはもらえねえか?」
真摯に言う氷川に、若い二人は恐縮しながらもおずおずと頷いた。
「分かりました。それでは……お言葉に甘えさせていただきます」
遼二がそう言うと同時に、紫月も一緒になってペコリと頭を下げた。
と、そこへ側近の李に案内されて、帝斗がやって来た。
「やあ、皆お揃いだね。どうやら例の話も上手くまとまったみたいだね?」
帝斗は氷川が遼二らに投げ掛けた提案を、既に知っていたようだ。にこやかに微笑みながら、良かった良かったといった調子で頷いている。
「帝斗、早かったな。来るのは夕方になると聞いていたが――」
氷川が椅子を勧めながらそう言えば、
「だってお前さん方が皆で楽しくやっていると思ったらさ、どうにも気が逸ってしまって仕方なかったのさ。とっとと仕事を片付けて飛んで来たというわけ!」
悪戯そうな笑みを携えながら、ウィンクまで繰り出すおまけ付きだ。帝斗というのは本当にこうした仕草が嫌味なく、よくよく似合う男でもある。
「やっぱりミカドさんには適わないっす! 自分も初心に返ってまだまだ勉強しなきゃならないことだらけです」
冰がそう言えば、氷川も楽しそうに口角を上げて微笑んだ。
その後は、皆で中庭にある温水プールとジャグシーを楽しみ、和気藹々と過ごした。
氷川と冰、遼二と紫月といった二組の熱愛カップルを前に、帝斗は『僕もそろそろ恋人が欲しいなぁ』などと言っては盛り上がったのだった。
ディナーは皆で中華料理を堪能したら、今夜は別荘に泊りだ。各自、それぞれの部屋へと戻っていった。
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