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それにしても、これはとんでもない驚きである。今の今まで、冰はそんなことを想像すらしたことがなかったので、しばしは言葉にならないほどであった。と同時に、何故そんな大事なことを黙っていたのかと、氷川に対しても少々恨み言を言いたいくらいだった。
「ちょ……ちょっと待ってくれ……。頭がこんがらがってきたぜ……! 一体、誰と誰がこのことを知ってて、誰と誰が知らなかったわけだよ? もしか、何も知らねえでノホホンとしてたのは……俺だけだってこと?」
眉間に皺を寄せながら、冰は軽いパニック状態だ。
だが、少し落ち着いて考えてみれば、思い当たらない節もない――とも思えてくるのだった。
普段はあまり何かに対して格別な関心を寄せることも少ない氷川が、あの遼二に対してだけは違った。初対面でいきなり自分の側付きとして勤めないかと誘い、以来、何処へ行くにも連れて歩いている。彼と一緒にいる時の氷川が何ともいえず楽しげにしているので、よほど彼とは馬が合うのか、或いは人として何らかの魅力を感じているのだろうかと、少々不思議に思っていたのは事実である。
それを肯定するように口元にニヒルな笑みを浮かべながら氷川は言った。
「遼二の親父は俺がまだ小せえガキの頃からうちに来ていてな。よく遊んでもらったもんだ」
「そうだったのか……」
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