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紫月の父親の方も一見モデルのような美男だが、こちらは言われなければすぐには親子と結びつかない印象だ。ということは、紫月は母親似なのだろうと思えた。
「はじめまして! 雪吹冰です。ご子息様方にはたいへんお世話になっております。また、先日はとんだご迷惑をお掛けしてしまい申し訳ございませんでした。彼らのご助力で、私どもはどれ程救われたか知れません」
氷川とは違って物腰もやわらかく、真摯な様子がこれまた実に冰らしい。丁寧に頭を下げた冰に、僚一も飛燕も好印象を抱いたようであった。
「つい先日、焔がうちを訪ねてくれた際に話には聞いていたが――噂以上の男前だな。本当にいい男だ。綺麗なだけじゃなく、人柄の良さが伝わってくるぜ」
遠慮なしのストレートな物言いだが、裏を返せば、二人にとってそれ程に冰が魅力的に映ったということだろう。
「似合いのカップルだな。羨ましい限りだ」
これでは氷川が夢中になるのも納得だといった調子で飛燕が言えば、僚一もニヒルに口角を上げて、悪戯そうに微笑んだ。
「ダブルブリザードか――。こいつぁ、焔にとっちゃよくよく最高の相手じゃねえか。名前からして溶かし甲斐がありそうだ」
その言葉に、ふと、まだ氷川と親密な関係になる前のことが思い出されて、冰は瞳を細めた。
”雪吹”という名字に”冰”という名――凍るような印象のそれを知った氷川から、同じことを言われたことがあるからだ。
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