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クラスでの私の立ち位置は、まさに化け猫ならぬ化け生徒。
成績優秀でスポーツ万能、おまけに男どもが寄り付く容姿ときたら、否が応でも尊敬と羨望の眼差しを送られる。
それでも品格と知性を兼ね揃えた私は、たとえ相手が人間といえど図に乗らず、おしとやかで上品でいることに徹しているのだ。
今日は帰りに珍しい猫じゃらしを探しにいこう。
そんなことを思いながら教室の扉に向かっていた時、ふと強烈な視線を背中に感じ、千佳子は慌てて振り返った。窓際一番後ろの席、今日もあいつは私を見ていた。
宮川尚人。
短髪でつり目、いつも一人でいるあいつ。群れないところは共感を呼ぶが、私はあいつのことを危険視している。
なぜならあいつは授業中も休み時間も、そして偶然帰りに姿を見かけた時も、いつもこっちを見ているのだ。
その何もかもを射抜くような鋭い視線は、私に羨望を寄せてくるほかの男どもとは種類が違う。
何かこう、覗かれてはいけない私の秘密を、目力だけで無理やり掘り返そうとするかのように……。
「たぶん……気づかれてる」
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