砂とラムネ

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 横井さんが砂浜に腰を下ろしたので、俺もそれに倣った。遠くで繰り返される波の音。どこまでも続く夜の暗さ。俺たち以外には、誰も居なかった。 「わー、やっぱり結構溶けてる」  アイスの袋を破き、中身を取り出しながら、彼女はわずかに眉根を寄せた。  俺も同じようにして、淡い色のアイスを引っ張り出す。ぱたぱたと、甘そうな滴が木の棒をつたい、それを受けた指先がひんやりと冷たくなった。  急かされるようにして、アイスを噛った。とろりとした甘みが口内に広がる。懐かしい味だなと、なんの色もない感想が頭の中に浮かんだ。 「旨い」 「うん、おいしいね」  手の中で今にも溶け落ちそうなそれを、横井さんと並んで半分くらい食べたところでふと思い出す。  高校生のとき、一度だけ、彼女と二人きりでここに来たことがあった。
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