一石二鳥

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「ふぁ~。あーよく寝た……」  1ヶ月ぶりの心地よい目覚めを感じた。 「すっきりした……え、すっきり?」  視界は良好。  幼女も消え、1人きりの4畳の自室がいつもより広くなった気がする。 否、気のせいではなく事実広くなっていた。 「おいおいおいおい!!」  何もないのだ。 小さい机もボロい冷蔵庫もトイレットペーパーも押し入れの布団も、全てが一夜にして煙のように消えた。  空の部屋には唯一の名残、リンゴでいっぱいの段ボールだけ。 「………………」  唖然とする男。  犯人はあの幼女だろうか。 人間には到底不可能に思える所行だが、不思議な雰囲気のあの子ならできそうな気もする。    だが、家財道具がなくなり仕事も遅刻だ。    これからどうすればいいのか。 「まあ、どうにかなるか」  金銭問題は解決してないが、食料と睡眠という大きな問題が2つも解決したのだ。  男はリンゴをかじって、再び、あまいあまい眠りについた。
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