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時代劇ミステリー〜木枯し紋次郎の美学 後篇
さて木枯し紋次郎の最終回、流れ船は帰らずは
圧巻。
炎上して崩れ落ちる工事中の橋を背景に死闘を演じる紋次郎と鬼の十兵衛、
似たもの同士が斬り合う殺陣アクションは最大の見せ場だ。^_^
十兵衛が死んだあと、橋の崩壊を紋次郎に罪を着せるため奉行がさらに襲いかかり、それを一刀両断するのだ。
話は振り出しにもどる。物語は父と娘が江戸から小平次という男を橋の工事現場に探しに来るところから始まる。
小平次は父の大切な息子であり、娘にとっては最愛の兄である。
しかし強盗に襲われ、父親は殺される。
実は鬼の十兵衛の正体は2人が探していた小平次
だった。
前述の決闘のさい、背中の着物を斬られたさい、火傷の痕でそれが証明される。
自分を虐待し、後妻をもらい母を追い出した父親は許せない存在であったのだ。
小平次の名を捨て、悪の限りを尽くす十兵衛はもう昔のイメージではなかったのだ。
小平次さんは流れ舟だったんでござんす。
流れた舟は決して帰ってはきやしません。
娘に説く紋次郎のこの言葉は十兵衛だけでなく、自分に対する言い聞かせでもある。
故郷を捨てた紋次郎は二度と三日月村に戻ることはないのだ。
中村敦夫が演じた木枯し紋次郎は当時40%近くの視聴率を上げたが、後に放映した新木枯し紋次郎は視聴率は高いといえどもここまでは及ばなかった。
やはりその時代性と市川崑監督の見せた四季の自然描写と西部劇にも通じる豪快なアクションが影響していたのだろう。
そして原作の笹沢左保氏の持ち味である本格ミステリーの要素も外せない。
ところで現在時代劇は予算がかかること、時代劇を撮れる役者さんが少ないこと、そして殺陣の描写に制限がかかり、減っている。
こんな状況下で時代劇の将来は厳しいが、自分のように時代劇にロマンを求めてるファンもまた数多いことも認識してほしいなと思うのである。
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