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「ああ、母なる大地まであと…10時間と25分」
『さっさと掃除しろ、掃除』
「あいあいさー」
このワープ航行に関しても様々な議論がある。
月軌道までのワープを認めるべきだとする意見から、エッジワース・カイパーベルトの外側までワープ禁止区域(通称レッドゾーン)を伸ばすべきだという意見まである。
アナウンスが響いた。
【総員に連絡。間もなく、カシオペア輸送船…1015号が到着します】
「星見曹長」
『うん、配置について』
僕ら機関部のクルーはそれぞれの持ち場についた。
かつて、敵対勢力の潜宙艦が民間船の後を付け、軍艦に向けて攻撃を仕掛けた事件があった。潜宙艦には特殊な光学迷彩が施されており、最新鋭のレーダーでも哨戒網を潜り抜けることは珍しくない。
輸送船が姿を見せた。機関部はシーンと静まり返り、僕たちはモニターの様子を食い入るように眺める。もし、急発進の指示が出ればいつでもエンジンを動かす準備はできている。
およそ10秒ほど経っただろうか。モニターには宇宙の大海原に輸送船3隻の姿が見えた。アナウンスが聞こえてきた。
【これより、カシオペア輸送船団を護衛します】
『よし、輸送船と速度を合わせて』
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