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「散宙くん若けえなぁ、羨ましいくらいの感じっぷり。ちょっと目開けて見てみろよ」
「や、やだ……あぁっ」
「どんだけ勃ってるか、教えてやろうか」
俺の先端にハルトが指を引っ掛け、そのままゆっくりと下に向かせていった。
「う……」
「ほら」
完全に寝かせた状態から、ハルトの指がするりと離れる。反動で俺のそれが勢いよく反り返り、汗か体液か分からないものが腹の辺りに飛び散った。
「やっ、……!」
もう一度それをやられ、更にもう一度やられそうになったところで俺は堪らず身を起こし、ハルトの手を掴んだ。もちろん、目はしっかりと開いている。
「ひ、人のモノで遊ぶなって……!」
真っ赤になった俺を見て、ハルトが嬉しそうに唇を歪めた。
「恥ずかしいのが好きなんだな。ウチで働けば人気出るのに」
その言葉の意味は分からなかったが、どうせ碌でもないことだというのだけは分かる。俺は歯を食いしばり、目の前のハルトを睨み付けた。
「そうだぜ、どうせならちゃんと目開けて見てろよ。こんな体験滅多にできないぞ」
「……んっ、く……」
右手に握られたそれが上下に擦られ、再び腰が疼き始めた。ベッドを降りたハルトが床に膝を付き、伸ばした左手で俺の背中を支える。
……気付けば俺は両脚を大きく広げていた。痙攣する内股の間で扱かれている俺のそれは、触れたら火傷するのではと思うほど熱くなっている。──それがハルトの手の熱なのか、俺自身の熱なのかは分からない。
「あっ、……あぁっ、だめ、ハルトっ……!」
開かれた視界一杯に広がる有り得ない光景に訳も分からず涙が出た。ハルトが眉間に皺を寄せ、だけど口元だけは嬉しそうに弛めながら、鋭く俺を見つめている。その眼差しには奇妙な色気があった。まるで俺の全てを素っ裸にするかのような目付き。そんな目で見られていると思うだけで、羞恥に身体が震えてしまう。
「もう俺、無理っ……イきそ……」
「いいぜ。むしろよく我慢した」
最後だけ優しく笑って、ハルトがいよいよ激しく手を上下させる。溜まっていた快楽が一気にせり上がってくるのを感じ、瞬間、目の前が真っ白になった。
「ああ、ぁっ、……!」
腰が痙攣し、何も考えられなくなり、視界がぼやけて──反り返った俺自身から白濁した体液が溢れ出す。服の上から胸にまで飛び散ったそれは勢いが止まらず、あろうことかハルトの顔にまで飛んでしまった。
「あ……」
「……お前、俺に顔射するとかいい度胸してるな」
「ご、ごめんなさいっ……!」
ドスの効いた低い声で言われて恐ろしくなり、俺は慌てて腰の下のタオルを引っ張り出してハルトの顔を拭いた。
「馬鹿、いいよ気にすんな」
逆にタオルを奪われ、胸や腹に飛び散ったそれを拭われる。それからイッたばかりの俺のそれを丁寧に拭われ、最後に頬にキスをされた。
「本当はこの後風呂で洗ってやるんだけど、その辺は省いてもいいだろ」
言われて気付いた。そうだ。これは確かハルトの店のマッサージを体験させてもらうつもりで始めたことだったのだ。……あまりに気持ち良すぎて、そのことをすっかり忘れていた。
「良かったか?」
「……何となくだけど、一万四千円の意味が分かったような、……気がする」
質問の答えにはなっていなかったが、それでもハルトは歯を見せて笑ってくれた。さっきの奇妙な色気のある笑みじゃない。どこにでもいる男の、爽やかな笑顔だった。
「これで宿代にはなったか。ていうかこの場合、金払うのはお前の方じゃん」
「す、すいません……」
ハルトが笑って煙草を揉み消し、「手洗ってくる」と俺を残して部屋を出て行く。その言葉にさっきまでのハルトの手の感触を思い出し、俺はまた赤面した。
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