上京初仕事?

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 それより、とハルトが俺に向き直る。 「これからどうする。今日、住み込みの仕事が見つからなかったら、また公園で寝るとか考えてるんじゃないだろうな」 「最悪の場合は、借金とかも考えて……」 「お前、本当に何も知らないんだな。住所不定無職で借金とか。貸してくれる業者もあるけど、法外な利子取られて結局自滅するぞ」 「………」  言われてもなお、俺は何とかなると思っていた。住み込みが駄目なら日払いのバイトで、切り詰めて金を貯めながらネカフェに泊まるとか、公園が危険なら別の場所でとか。  それを言うと、ハルトが溜息をついて腰に手をあてた。 「イラつくほど甘過ぎるけど、前途有望な若者を見殺しにするのも寝覚めが悪いからな。取り敢えず知り合いに仕事紹介してもらえるか聞いてやるから、靴履いて外出ろ」 「え、で、でも」 「これから仕事なんだ。話の続きは事務所でするぞ」  荷物も置いたまま外に出されて、俺は不安げにハルトを見上げた。 「事務所でって、俺、そんな……」  ハルトが俺に呆れつつも心配してくれている、ということは流石に伝わっていたけれど、それでも俺の不安は完全には拭えない。人一倍無鉄砲で無知な俺は、人一倍臆病でもあるのだ。 「いいから行くぞ」  説得するのも面倒臭いらしく、ハルトが強引に俺の背中を押す。よろけながらエレベーターに乗り、結局、俺はハルトについて行くことにした。  アテがないなら従うしかない。どうせ自分一人で行動しても駄目なのだから、利用できるものは利用しておいた方がいい。──恐らくこの考えもまた、甘いのだろうけれど。
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