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「よいしょー」と気合いを入れると、思い切りペダルを漕ぎ始めた。
青々をした樹木が等間隔に植わった通りを、真っ直ぐにひた走る。周りの建物は低く、建物同士がひしめき合って建っていないので、空が広く見える。牧歌的な通学路の風景だ。今日は天気が良くて、真っ青な空がどこまでも広がっていて、自転車に乗るのが気持ちいい。
「送ってもらっちゃって悪いねぇ、ありがとう、藍菜」
「ううん、気にしないで。帰り道だし」
公園に隣接されたスポーツセンターの前でののかを下ろすと、彼女は両手を胸の前で合わせて、軽くお辞儀をした。中学生時代から付き合っている他校に通う彼氏と、ここで待ち合わせをしているらしい。
「バイバイ」
「じゃあね、また明日」
彼氏待ちのののかと別れると、私は再び自転車に跨った。心地よい風が頬を撫でる。
ののかもマミタスも、小森先生の提案をダサイって笑ってたな。ノートを新調して、目標を立てたことを知ったら、私のことも陰でああいう風に笑うのかな? 一度考え始めたら、色々なことが気になって、最後の方の会話は上の空で、ののかと別れるまで何を話していたか、全く覚えていなかった。
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