7/12
前へ
/120ページ
次へ
 ののかは、出席番号順でたまたま隣の席になった女の子だ。入学式の日に、向こうから声を掛けてくれ、それから何となく、一緒に行動するようになっていた。    マミタスは、ののかと同じ塾に通っていたらしく、中学生の時から仲が良かったみたいだ。どこへ行くにもののかの後に付いていく。背格好が似ていて、髪型も同じようなボブだから、双子感があるし、二人で1セットみたいになっている。仲良し二人組に、私は無理矢理仲間に入れて貰っているような形だ。 「どうだった? ブラバン観てきたんだっけ?」  三人横一列に並んで、廊下を歩く。二人は部活動見学に行って来た帰りだった。 「うん、楽しそうだった。同中の先輩からお誘いだし、入部してみようかな?」 「ね? 先輩たち、皆優しそうだし。藍菜も一緒に来たら良かったのに」 「私は、部活は中学まででいいかなって。バイトもしてみたいし……二人みたいに、経験者じゃないし……」 「初心者の子も結構いるよ。でも、まぁ、藍菜がやりたくないなら、私たちが誘っても……ね?」 「うん。部活やるのもやらないのも、藍菜の自由だしね」  二人はそう言って口を噤んだ。
/120ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加