The Ground War

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The Ground War

 コボルトをボロ雑巾並みに使い込んだおかげでより国力を付けた大竜帝国。  長い時間をかけて軍備を整え、大竜帝国は周辺の全ての国境線に戦力を配置した。  周辺国であったエルフ、ドワーフ、ハーフリング全てを相手にして勝利するつもりでいたのだ……  400年もたつとワールドランナーズも時間をかけ、復興がほぼ完了していた。  大竜帝国はその間に軍備を整え、再び行動に出る。  統一歴420年。  大竜帝国はワールドランナーズに全土併合を求める無茶苦茶な最後通牒を叩きつける。  もちろんのこと、ワールドランナーズが拒否すると大竜帝国はワールドランナーズ領に向かって宣戦布告、即座に進軍を開始。  第2次ドラゴニュートの災害が起きようとしていた。  だが、ハーフリングたちは再び抵抗を見せた。  条約により表立ってワールドランナーズ軍というものを持てなくなったため、ハーフリングたちは市民が立ち上がった形、要はレジスタンス的な組織としてドラゴニュート軍に立ち向かった。  それは表向きに堂々と武装化できず、数でも質でも圧倒的に不利だったはずなのに。  この戦争はかならずしもドラゴニュートの圧倒的有利とはならなかった。  原因はドワーフの開発した"リボルバー銃"である。  ドワーフから買い付けたリボルバーはハーフリングたちでも簡単に使える小さな武器でありながら、ドラゴニュートの鎧と鱗をまとめて貫通できるほどの威力を持っていた。  ハーフリングはもとより得意であったゲリラ戦術でドラゴニュートに立ち向かい、全く歯が立たなかったはずのドラゴニュートに対して一矢報いることができたのだ。  ドラゴニュートたちもこの時代になれば銃を開発していた。ハーフリングからすれば手持ち式大砲に見えただろうが銃剣付きのライフルである。  もちろん、ハーフリングに負けじと陸と空から弾丸の雨を浴びせようとしたが、銃撃戦となると立場は逆転してしまっていた。  剣で斬りあうような戦いであればドラゴニュートの体そのものが鎧の役割を果たし、強靭な肉体から発せられたパワーはハーフリングをいとも簡単に叩き潰せた。  だが、銃撃戦となれば鍛え上げられたドラゴニュートの肉体などただのでかい的にしかならない。逆にハーフリングの小さい身体と素早さは銃弾を回避するのにこれ以上ないアドバンテージだった。  結果としてドラゴニュートたちは銃剣を使ってハーフリングに突撃するという、銃を一切活用していない戦法をとったほうが効果があるという有様だった。  ドラゴニュートたちが白兵のほうが有利と気づくと、ドラゴニュートたちはこぞって銃剣突撃を強行。  拳銃程度で屈強なドラゴニュート軍を完全に止められるはずもなく、そして殴り合いとなれば種族差による優位性が逆転してしまった。  この戦いでもハーフリングに少なからず被害は出ていたのだ。  ワールドランナーズは前回よりはゆっくりではあるものの、再び虐殺されることになる。  この惨状を知ったヘパイストス王国はワールドランナーズ側へとつき、統一歴421年に大竜帝国へと宣戦布告。  実際は大竜帝国を追い越して世界一になる口実に戦争を仕掛けたとの説が有力らしいが。  さらにはエルフたち率いる国、フォレスト・ネイションも続いてワールドランナーズ側へと参戦した。  エルフたちはドワーフたちの技術に少なからず恩恵を受けており、ドワーフたちに恩を返すために参戦したのだ。  実際は戦争のおこぼれに預かって少しでも領土をもらおうとしたとの説が有力らしいが。  実際の思惑はどうであれ、この戦争は  エルフ・ドワーフ・オーク・ハーフリング連合軍 対 大竜帝国の構図となった。  全ての主要国が参戦し、ミックスワールドでの世界大戦となったのである。  ドラゴニュートは周辺国の本格的な参戦は想定していたが、実際の戦線は想定以上に苦戦を強いられていた。  ドワーフやオークたちは既に技術の最先端を走っており、そのレベルはもはや第2次世界大戦近くにあった。  彼らはいまだに旧式のボルトアクション式ライフルと銃剣を構えて一直線に突っ込んでくるドラゴニュートたちを重機関銃や戦車、戦艦の艦砲射撃で蹴散らした。  エルフたちは戦いに魔術を組み合わせ、ドラゴニュートたちを混乱させた。この時代においては高度な科学により魔法でしかできないということ、というのは少なくなっていたが、ただ言葉を発するだけで何もない手から火を放ったり、傷を癒せたりするのは特に満足に物資のない戦線において重宝され、エルフたちの命運を分けた。  弾薬がなくなろうが医療物資がなくなろうがエルフの口から「物資切れ」という言葉はほとんど出なかったようだ。  また、この時代は森の住人達にも科学が浸透しており、ドワーフ譲りの技術力を見せつけた。  この世界で初めてスナイパーというものを生み出したのはエルフだともいわれている。  さらにドラゴニュートを苦しめたのはこれまでドラゴニュートの独壇場でもあった空戦である。  この時代になればついに航空機が登場し、他種族も空で戦えるようになったのだ。  そこで問題となったのは、大竜帝国は航空機の開発を全くしていなかったことである。  自分で飛べるので開発する必要などなかったのだろうが……  当然、ドラゴニュート軍に空母や飛行場は全く存在せず、対空戦も一切考えられていなかった。  そのため出来上がったのはレシプロ機に生身で立ち向かっていき、機関砲に撃ち落とされ、プロペラに切り刻まれるドラゴニュートたちの光景だった。  陸と空でアドバンテージを失った大竜帝国の戦線は停滞、それどころかじりじりと後退してしまう。  この戦争、のちに"地上大戦"と呼ばれた戦争は、やがて大竜帝国領へ侵攻していき、連合軍が勝利していくかのように思えた
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