秘密のクリスマスチキン

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(美味そうだな)  ヒロは骨付きの鶏もも肉にフォークで穴を開け、塩をすり込んでいく。すりおろしたにんにく、黒胡椒も同じようにまんべんなく。 「ローズマリ、タイム、ローリエ……と」  それから数種類のハーブを粗みじん切りにした。  バッドに並べた鶏もも肉にみじん切りにしたハーブを散らし、白ワインを回しかける。最後にオリーブオイルをたっぷり注ぎ、全体をなじませた。  バッドにラップをし冷蔵庫に入れると、ホッとしたようにヒロは笑顔になる。 「美味しくなれよ」  魔法の呪文を唱え、あくびをした。 「さて、寝るか」  そこでバッドに並べられた二本の骨付きの鶏もも肉に疑問がわき、ハリーは顔を顰める。 (なぜ、二本?)  定休日のクリスマス・イブ、ヒロはあのチキンを誰に食べさせるつもりだろう。 (まさか、おいらとヒロ、二人でクリパか?)  いくらなんでも一人と一匹じゃ寂しすぎるだろ、ハリーはそう思いつつもまんざらでもなさそうににやついた。 「ハリー、そんなところにいたのか?」 【…………】  ヒロに気づかれるも、ハリーは咄嗟に寝たふりをする。 「寒いだろ、おい」 【…………】 (おいら、サプライズのクリスマスパーティーにはまだ気づいていないからな)  ハリーは知らないふりを決め込んだ。 「……仕方ないな」  ヒロはそっとハリーを持ち上げゲージまで連れていくと、小さくてふかふかのベッドに入れた。 「おやすみ」
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