122人が本棚に入れています
本棚に追加
(美味そうだな)
ヒロは骨付きの鶏もも肉にフォークで穴を開け、塩をすり込んでいく。すりおろしたにんにく、黒胡椒も同じようにまんべんなく。
「ローズマリ、タイム、ローリエ……と」
それから数種類のハーブを粗みじん切りにした。
バッドに並べた鶏もも肉にみじん切りにしたハーブを散らし、白ワインを回しかける。最後にオリーブオイルをたっぷり注ぎ、全体をなじませた。
バッドにラップをし冷蔵庫に入れると、ホッとしたようにヒロは笑顔になる。
「美味しくなれよ」
魔法の呪文を唱え、あくびをした。
「さて、寝るか」
そこでバッドに並べられた二本の骨付きの鶏もも肉に疑問がわき、ハリーは顔を顰める。
(なぜ、二本?)
定休日のクリスマス・イブ、ヒロはあのチキンを誰に食べさせるつもりだろう。
(まさか、おいらとヒロ、二人でクリパか?)
いくらなんでも一人と一匹じゃ寂しすぎるだろ、ハリーはそう思いつつもまんざらでもなさそうににやついた。
「ハリー、そんなところにいたのか?」
【…………】
ヒロに気づかれるも、ハリーは咄嗟に寝たふりをする。
「寒いだろ、おい」
【…………】
(おいら、サプライズのクリスマスパーティーにはまだ気づいていないからな)
ハリーは知らないふりを決め込んだ。
「……仕方ないな」
ヒロはそっとハリーを持ち上げゲージまで連れていくと、小さくてふかふかのベッドに入れた。
「おやすみ」
最初のコメントを投稿しよう!