ハロウィンかぼちゃのドフィノワ風

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【人間だったら爺さんだ。いや、二百歳超えなら、とっくに死んでるか。仮装するなら幽霊にしろ】 「うっ……」  ヒロは泣きたくなった。最近気になっているバイトの絵麻とは二百歳以上年が離れている。年の差恋愛が流行っているとはいえ。 「さすがに無理だろ」  さびしげにヒロはつぶやいた。  そろそろオープンの時間だ。キッチンに戻り身だしなみを鏡でチェックする。そこで。 「爺さんでもイケメンだし、イケるかもな」  髪をかきあげ、モデル風にポーズを決める。  ヒロはバカがつくほど前向きなのである。  そうしていると、窓の向こうにベビーカーを押すママたちの姿が見えた。 (お、来た来た)  今日は数日前から予約が入っていた、ご近所ママ友サークルのお茶会だ。 「いらっしゃいませ」  ヒロは笑顔でドアを開ける。 「わー店長、今日もイケメン!」 「魔法使いのコスプレ〜」  若いママたちは、ヒロを見て喜んでいる。ヒロは小さく「よっしゃ」と拳を握りしめた。 
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