ハロウィンかぼちゃのドフィノワ風

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「かぼちゃいりませんか?」  ショートカットのママから声がかかる。 「かぼちゃ、ですか?」 「ご近所に小さな畑をやっているおばあちゃんがいて。山ほどわけてもらったけど食べきれないし」  この辺にも畑があるのか……、いや、あったような、ヒロは首をかしげる。実は、軽い(?)記憶喪失なのである。 「でも美味しくないんです。店長さんならどうにかできるかなと」 「美味しくない?」  ショートカットのママは、ベビーカーの底にあるバスケットからかぼちゃを取り出した。 「甘みがなくて」  ヒロはかぼちゃを手にとり皮やヘタの状態をながめる。 (なるほど) 「僕が美味しくしておきますので二週間後に取りに来てください」 「え? どうやって?」 「魔法を使って、なんて」  ヒロが意味深な笑みを浮かべると。 【言うねぇ! 魔法使えねーくせに!】  ハリーはゲージの中で暴れていたが。 「楽しみにしていますね〜」 「店長、魔法使えるんですか? かっこいい」  ママたちにのせられて気分がよくなるヒロだった。
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