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「ええと、じゃあ、桜田さんにはホワイトソースを作ってもらおう」
「ホワイトソースですかー」
難しそうと思ったのか、絵麻は困った顔になる。
「かぼちゃのドフィノワ風を作ろうと思ってるんだ」
「ドフィノワ?」
「そう。フランスの郷土料理で、じゃがいものグラタン。グラタンとはいえ、牛乳と生クリームを流し入れるだけだから簡単なんだ。かぼちゃでアレンジするから、ドフィノワ風」
「かぼちゃのグラタン、めっちゃ美味しそう」
絵麻は目を輝かせた。
(素直でかわいいな)
ヒロはにやつかないよう顔をひきしめた。
かぼちゃは、わたと種をとり薄くスライス。カットしたベーコン・玉ねぎと一緒に炒める。味付けはシンプルに塩コショウ。
その隣で、絵麻は牛乳と生クリームをボウルに入れ混ぜ合わせていた。
グラタン皿に、バターとすりおろしたにんにくを塗り、具材を盛る。
「そしてチーズ」
パラパラと散らし、最後にローズマリーを乗せた。
「では、投入します」
そう言って、絵麻は皿にホワイトソースを流し込んだ。
「あとはオーブンで焼くだけだ」
(おいしくな〜れ)
ヒロはグラタン皿をオーブンに入れた。
(焼き上がるまでの二十分)
絵麻と二人きりの時間をどう過ごそう、ヒロの顔は思わず緩む。ところが。
「ハリーは今日も起きてるんだね」
【まぁ、普通のハリネズミとは違うんでね】
「人間にもなついてるし、かわいいなぁ」
【いやぁ、それほどでも。そういう桜田もなかなか可愛いじゃん】
「店長に大事にされているんだね」
【おいらがヒロにあわせてんだよ】
ヒロはジロリとハリーを睨む。絵麻はハリーに夢中だった。そのうえ。
(会話がなんとなく成立してる)
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