ハロウィンかぼちゃのドフィノワ風

1/9
121人が本棚に入れています
本棚に追加
/36ページ

ハロウィンかぼちゃのドフィノワ風

【1】  店の入り口にはボリュームたっぷりのドライフラワー。ポンポンのような形状をしたピンクの千日紅(センニチコウ)だ。新鮮なうちに乾燥させたことで、色も香りも良いものができた。 「俺、やっぱり天才」  ヒロは満足げに腕を組む。 【…………】  ゲージの中から、じっとりした目で見ているのはハリネズミのハリーだ。 「そんな目で見るくらいなら、ハッキリ言えよ。料理もできて、センスも抜群、天才じゃなかったら俺はなんなんだ?」  常連客がつきはじめ売上も好調な『ハーブカフェ・玻璃』の店主ヒロは、余裕だ。  収穫祭をイメージした大麦やコーン、秋らしいふわふわパンパグラスなど、店を飾るドライフラワーも増し増しである。 【魔法を忘れた魔法使いの仮装をした爺さん】 「爺さん⁉」  ハロウィンの雰囲気を出すためにかぶった、黒のとんがり帽子がズルっとずれた。
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!