66 もう少しだけ

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金は。 すべての人間の口を開かせ、言うことを聞かせる。 私の最大の武器だった。 なのに。 風がピュウピュウ吹いている。 項垂れていると、上着をかけられた。 目の前に白いカップ。 「若、お風邪を召されます。どうぞ。 温かいコンソメスープです。」 「イチ・・すまない。」 一口飲むと、身体の芯からぽかぽか暖まった。 よくみると、さっきまでいた男が消えていた。 そうか。 願いを叶えたから。 後悔なく。 「若、ご用事は済まされたのですか?」 「ああ、・・帰るか。イチ。」 「はい。」
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