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「うっま」
「聞いてるのか、ユーキ」
「んぐ、んまい」
和菓子をガツガツ食べるユーキに、俺は少し呆れていた。
「ここは俺の主人が住んでる家だ。
俺は居候の身。
あまり汚さないでくれよ」
「こんなデカイ家に2人かよ、
イチの主人は金持ちなんだな。
で、主人はどこにいるんだ?」
「海外だ。
俺は留守を任されたんだ。」
ユーキは、へえ、と言う。
「イチを置いて海外に遊びに行くなんて、ちょっとひどくないか?」
「いや。遊びじゃない。
主人は表彰されに行ったんだよ。
貧しい国の人々に支援してるから。」
「・・そうか。いいやつだな。
・・俺の父親も、イチの主人みたいだったらよかったのに」
「・・カツヒサは確かに、薬を売りさばいていた。
でも、お前の話はよくしていた。
きっと愛していたんだ、お前を。
死人に会えて話を聞けたらいいんだがな。」
「・・死人に話を聞くなんて。
あ・・ぷっ、くくく。」
ユーキは、急に笑い始めた。
「続きを話していいか」
「あ。ああ。いい。」
ユーキは笑うのをやめた。
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