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「トム、何でこんなとこに」
「今、海外から戻ったところだ。
ユーキ、貴様をさがしてたんだ。
父さんの手帳を返しに貰いにきた。
イチが危険な目にあわせたみたいですまなかったな」
「いや、俺が勝手に行っただけだし。
逆にイチは守ってくれたし感謝してるよ。
手帳、返すよ。」
手帳を受け取ったトムは、同じようにベンチに座る。
「もしも父親が本当にユーキを愛していなかったら、すぐに薬漬けに出来たはずだ。
イチからも話は聞いてる。溺愛してたのは間違いない」
「なら、何で父さんは俺の目を刺したんだ」
涙が、落ちた。
「・・今の自分の姿を見せたくなかったのかもしれん。
だから、あえて子供を傷つけて離した。
・・私にはその気持ちがわかる。」
「・・・そうか。」
すると、トムは不思議そうに俺の顔を見て言う。
「今、目を刺されたと言ったが、怪我がないようだな。・・どうやって治したんだ?」
「俺が手品で治したんだっ」
りーくんが言う。
嘘はついてない。
「ほう、怪我を治せるのか?
私にもやり方を教えてくれ。」
「え?・・い、いや、この手品は俺しか」
「頼む、金ならいくらでも出す!」
俺は笑っていた。
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