65 ユーキ2

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「トム、何でこんなとこに」 「今、海外から戻ったところだ。 ユーキ、貴様をさがしてたんだ。 父さんの手帳を返しに貰いにきた。 イチが危険な目にあわせたみたいですまなかったな」 「いや、俺が勝手に行っただけだし。 逆にイチは守ってくれたし感謝してるよ。 手帳、返すよ。」 手帳を受け取ったトムは、同じようにベンチに座る。 「もしも父親が本当にユーキを愛していなかったら、すぐに薬漬けに出来たはずだ。 イチからも話は聞いてる。溺愛してたのは間違いない」 「なら、何で父さんは俺の目を刺したんだ」 涙が、落ちた。 「・・今の自分の姿を見せたくなかったのかもしれん。 だから、あえて子供を傷つけて離した。 ・・私にはその気持ちがわかる。」 「・・・そうか。」 すると、トムは不思議そうに俺の顔を見て言う。 「今、目を刺されたと言ったが、怪我がないようだな。・・どうやって治したんだ?」 「俺が手品で治したんだっ」 りーくんが言う。 嘘はついてない。 「ほう、怪我を治せるのか? 私にもやり方を教えてくれ。」 「え?・・い、いや、この手品は俺しか」 「頼む、金ならいくらでも出す!」 俺は笑っていた。
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