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フラフラ歩いていると、目の前に高級車が止まった。
そして、ドアが開く。
「若、どちらに」
焦った男の声は運転席からだ。
「少し待っててくれ。
どうしたんだ、そんな悲しそうな顔をして。」
高そうな白いスーツ。
高そうな腕時計。
高そうな靴。
すべてが有名ブランドの一級品のものだ。あの車だってウン千万するだろう。
ブランドで固めているのに、何故かそのメガネだけは高級感を全く感じない。
【あ、あの・・】
「こい」
車の中に引っ張られた。
中は高級感があるソファー。
そしてワインセラーがある。
「飲みたいか?何本でも飲むといい。
持って帰ってくれても構わない。
イチ、イヌイヌランドに向かってくれないか」
「かしこまりました、若」
ミックスナッツが出された。
【・・・私が、見えてるんですね】
「この世に未練があるのだろう?
酒でないとしたら、金か?」
ドンっ
胸元のポケットからテーブルに置かれたのは、札束。
【・・・・】
「私は金持ちだ。理由を話してくれたら、望む額をあなたの家族に届けよう。」
メガネが妖しく光った。
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