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私は、イチや彼を置いて1人で歩いた。
『ちょっと待っててくれ』
と言って。
「・・・・」
「お金じゃ、解決出来ないこともあるみたいだねっ」
!
声がした。
手品師がそこにいた。
「・・りーくんか。
はは、確かにそうだな。
私は、今最大の危機に面している。
・・娘さんの成長した姿など、金では買えない。」
「叶えられるよっ。
俺なら。
ただし、条件がある。」
「金ならいくらでも」
「お金じゃないっ。
・・キミのお父さんの形見。
あの革ジャン。
俺にくれないっ?」
「・・・。
それで、あの方を満足させられるのか?」
「うんっ。」
本当なら、渡したくない。
何にも変えがたいもの。
しかし。
私は一呼吸置いた。
そして声を出す。
「わかった、持っていけ。」
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