66 もう少しだけ

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「代々木ってキミかいっ?」 すぐに。 俺は、代々木の部屋にいた。 「何だ、貴様は。」 「・・・。死神だよっ」 そいつは俺を見て。 尻餅をついた。 いや、背中の虎を見ている。 「な、あ、麻生の息子か・・わ、わかった! トム、天山組を復活させる金が必要だろう! 金は人を動かす最大の武器だ! 金さえあれば、ドラッグも、女も、この社会での名声も、全て手に入るぞ!」 「違うな。 金は困ってる誰かのために使うものだ。」 後ろから声がする。 そこに、トム君とイチ君がいた。 「だ、誰だ貴様」 「私の名前を、さっき言っていただろう。」 「・・若。車に戻っていてください。」 「ああ。」 そう言ったイチ君が日本刀を抜く。 トム君がいなくなった。 瞬間に。 音もなく。 素早く、日本刀をしまう。 相手は手足がなくなったのも。 首が落ちたのも。 わからなかっただろう。 血の雨だ。 「・・後始末は、出来るだろう。 魂はくれてやる、死神」 「聞こえてたかっ」 「俺の耳は、度重なる戦闘で鍛えられてる。 若には聞こえていないはずだ。 若に危害を加えないようだから、黙っといてやる」 「ありがとうっ。 って、もういないや」 俺は笑った。
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