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「・・もう、よろしいのですか?」
そんな二人を、私はある人物と眺めていた。
修羅場を潜り抜けたその身体中は、切り傷だらけ。
威厳のある、その刺青。
【ああ。・・トムとイチの姿を最後に見せてくれてありがとう。安原さん。】
天山組、組長の麻生夢二だ。
なかなかあの世へは行けず、トムの姿を見たいと言いこうやって私についてきた。
「・・息子さんにお会いしなくて、大丈夫ですか?彼には、霊感がある。
きっと、あなたの姿も見える」
【・・・いいんだ。
こんなクズ父親の顔なんて、あいつはみたくないはずだ。
・・あいつの会社、オーグフーズセレクションだっけか。
前に行ったことがある。
・・あそこで食べた練りきりと抹茶は、うまかったなあ。
あいつの舌は、本物だな】
彼はそういうと、ベンチに座る。
私も隣に座った。
「日本を代表する食品会社であり、今や世界にも沢山の支店がある。
この前、息子さんは海外で英雄にだけ送られる賞を受賞していましたよ。」
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