66 もう少しだけ

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【・・自分が蒔いた種だってのはわかってる。 だが、・・本当は。 極道から足を洗って、あいつのそばにいたかった。あいつと一緒に、世界を回ってみたかったよ。 もう少しだけ、側にいたかったなあ。 だが、まあ。 あいつにはイチがいる。 イチの日本刀の腕には、誰も勝てない。 ・・安原さん。 トムのこと、頼む】 「おまかせ下さい。 あと、これをお返しします」 私が虎の絵が描かれた革ジャンを渡すと、彼は受け取り羽織る。 そして満足そうに笑い消えた。 「うっ、ぐすっ、ぐすっ、サトシっじい~」 隠れていたタクが、私に泣きつきました。 「タク、全くあなたはいつも泣く」 「だっで!トムっちのオヤジさんがざあ!」 「わかりましたわかりました、喫茶店に帰ってホットチョコレートにでもしましょう」 「う"ん・・・」 「またのお越しを、お待ちしております。 麻生・・いえ。 紅林夢二様。 お名前、お返し致します。」 私は、そう呟いて。 タクと歩きだした。
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