116人が本棚に入れています
本棚に追加
/1192ページ
【・・自分が蒔いた種だってのはわかってる。
だが、・・本当は。
極道から足を洗って、あいつのそばにいたかった。あいつと一緒に、世界を回ってみたかったよ。
もう少しだけ、側にいたかったなあ。
だが、まあ。
あいつにはイチがいる。
イチの日本刀の腕には、誰も勝てない。
・・安原さん。
トムのこと、頼む】
「おまかせ下さい。
あと、これをお返しします」
私が虎の絵が描かれた革ジャンを渡すと、彼は受け取り羽織る。
そして満足そうに笑い消えた。
「うっ、ぐすっ、ぐすっ、サトシっじい~」
隠れていたタクが、私に泣きつきました。
「タク、全くあなたはいつも泣く」
「だっで!トムっちのオヤジさんがざあ!」
「わかりましたわかりました、喫茶店に帰ってホットチョコレートにでもしましょう」
「う"ん・・・」
「またのお越しを、お待ちしております。
麻生・・いえ。
紅林夢二様。
お名前、お返し致します。」
私は、そう呟いて。
タクと歩きだした。
最初のコメントを投稿しよう!